「拉致は戦争だ」ー「未着手の本筋」の放置を許すな 長瀬たけし氏著

さて、将来この条約が発効したとして、自動的に、「軍事行動」が担保されるのかと言えば、「否」です。もし現状のまま事態が推移して、「軍事行動」を執ったならば、その時の総理大臣は、侵略を指揮したとして「人道に対する罪に相当すると規定」による訴追は免れないでしょう。 即ち、国際的共通認識を獲得しておくことが十分条件なのです。

近年、拉致被害者のご家族が世界各国へ出向いて、懸命なお訴えをしておられます。横田さんご一家が、ブッシュ前大統領と面会されたのも、国際連携という運動の一環でした。これはこれで効果があったことに異論はありません。しかし、軍事行動に必要な国際的共通認識を獲得したのかと言えば、補完的な効果しかなかったように思います。そして、その獲得が十分条件なら、補完されるべき「未着手の本筋」が必要条件となります。これこそが、拉致解決の為には、決して避けて通ることのできない「実行犯の検挙」なのです。

現在、我が国は拉致被害の規模を自ら明らかにすることなく、数多く潜伏している実行犯や協力者を一切検挙しておりません。わずかに北朝鮮に逃亡している実行犯を指名手配しているだけです。残念なことですが、実行犯や協力者の中に相当数の日本人がいます。そのことを知る報道機関も多いのですが、殆ど報じられていません。まさに闇の中の闇なのです。

この闇を放置したままでは、必要条件は永遠に満たされません。従って十分条件である国際的共通認識を獲得することも困難でしょう。「もし現状のまま事態が推移して、「軍事行動」を執ったならば、・・・」と先述した意味はここにあります。

私は、13年間の運動の中で、拉致実行犯と相対した経験があります。その人物は訴追されることなく今も一般人として生活しています。彼のような人物を国際法廷で証言させるならば、その効果は計りしれません。

私たちのこれからの運動は、この「未着手の本筋」を放置しつづける危険性を、実例を示して知らしめることではないでしょうか。いささか遅きに失しているとしても、後ずさりをしている暇はないのです。