『恵子、お母さんは待っていますよ!』第10回 政治の罪・不作為の不当性③ その3

「拉致事件」というファクターを通して世間を見れば、

言動に重大な結果責任が付随する立場の人々、

「政治家」「官僚」「マスコミ」等の中には、

大きな道義的責任を負うべき人々が大勢居る。

彼らの犯した罪は、

それぞれが属する社会や背景によって様々に分別できるが、

共通しているものは「国益への背任」であろう。

有本さんご夫妻は、愛娘恵子さんと引き裂かれて以来19年<当時>、

同時期に殆どの国民が現在進行形で「危機」を実感することも、

ましてや自らが生まれた社会を疑うなど考えも及ばずに生活していた中で、

その罪を実害として被った稀有な経験をされた。

ご夫妻が耐えがたい苦痛と引き換えに経験されたそれは、

抽象的で捉えどころのない「戦後の歪み」を、叙事的に描き出している。

私たちは未だその歪の真っ只中に在る事を忘れてはならない。(つづく)