平成7年早春、
同年1月に県下を襲った大震災の傷跡が生々しい中、
新たな珍客が来神した。
高沢皓司(こうじ)と名乗る中年の男性は、
「確かな筋の話として恵子さんは北朝鮮にいる。
是非、お話ししたいことがある・・・」
と訪問の理由を電話で告げてきた。
嘉代子さんは、
得体の知れない人を家に上げることを拒み、
明弘さんが「外で会うなら」と面会を承諾したという。
とはいえ、
震災により喫茶店など全く営業していない。
来訪者を連れて市内を歩き回ったすえ、
近所で1件だけ店を開けていた「焼肉屋」に腰を落ち着けた頃には、
もうすっかり日が暮れていた。(つづく)
長瀬 猛氏著作『恵子、お母さんは待っていますよ!』より




